●東京・八王子の女性2人殺傷:親に相談
2〜3週間前 菅野容疑者が供述
東京都八王子市の京王八王子駅ビルの書店で22日夜、女性2人が殺傷された事件で、会社員の菅野昭一容疑者(33)が警視庁捜査1課の調べに「仕事のことで親に2〜3週間ほど前に相談したが聞いてもらえなかった」と供述していることが分かった。「髪を切りに行く」と母親に伝えて17日ごろに自宅を出て、ホテルなどを泊まり歩いていたといい、捜査1課は親への不満をためたことも事件を起こす原因になったとみている。
供述によると、菅野容疑者は八王子市内のホテルや旅館を転々とし、事件前日の21日に自宅に戻った。「1人になりたかった」「大きな事件を起こして親を困らせようと思った」とも話しているという。
一方で、菅野容疑者は「仕事や職場での人間関係で2〜3日前からむしゃくしゃしていた」とも説明。また、父親(69)は取材に対し「相談などはなかった」としている。書店で2人を襲った理由について、菅野容疑者は「誰でもよかった。たまたま視界に入っただけ」と供述している。
事件の経緯の説明にもあいまいな部分が多く、警視庁は菅野容疑者からさらに詳しく事情を聴く方針だ。【川上晃弘、佐々木洋、古関俊樹】
毎日新聞 2008年7月26日 東京朝刊
●八王子殺傷、容疑者「犯行直前に包丁購入」…動機追及へ
東京都八王子市の京王八王子駅ビル9階の「啓文堂書店京王八王子店」で22日夜、店内に入ってきた男に女性2人が包丁で襲われ、1人が死亡、1人が負傷した事件で、警視庁に殺人未遂容疑で逮捕された会社員菅野(かんの)昭一容疑者(33)が今年5月、同市内の金属部品製造会社で正社員への採用を前提に働き始めた直後、機械で指を骨折し、長期間の休職を余儀なくされていたことがわかった。
菅野容疑者は「仕事がうまくいかず、ムシャクシャしてやった」などと供述していることから、同庁は容疑を殺人に切り替え、動機との関連を調べている。
勤務先の金属部品製造会社によると、菅野容疑者は5月8日から約1か月後に正社員となる約束で「社員試用」として働き出したが、同15日に工作機械に右手の指3本を挟まれて骨折。同月末まで入院した後は自宅で療養し、9月に職場復帰の予定だった。採用時の面接では「これまで派遣社員として部品の組み立て作業などをやってきた。モノ作りが好き」などと話し、同社専務(30)は「仕事を巡るトラブルはなく、不満も聞いていない」としている。
同庁幹部によると、菅野容疑者は22日午後9時30分ごろ、書店の本棚を整理していたアルバイト店員で、中央大学文学部4年の斉木愛(まな)さん(22)に無言で近づいて包丁で左胸を一突きして殺害し、近くにいた女子大生(21)の右胸も包丁で切りつけたという。
店の前にあるエレベーター内には凶器の包丁(刃渡り約15センチ)が落ちており、売り場には、菅野容疑者の名前が記された病院の診察券などが入った黒いリュックサックが残っていた。犯行後、菅野容疑者はエレベーターを利用して屋外に出て、JR八王子駅方面に歩いて向かったとみられる。菅野容疑者は「直前に現場近くの店で包丁を買った」とも供述。同署で当日の足取りなどを捜査している。
同庁関係者によると、菅野容疑者は一夜明けた23日朝、拘置先の八王子署内で発作を起こし、救急車で病院に搬送されたという。
(2008年7月23日13時55分 読売新聞)
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